五感でみつける 目で感じる

真冬のコトコト

何かと気ぜわしい時間も少しひと段落。
年の始まりのにぎわいは例えばシャンパンみたいな華やかさが
似合うけれど、日々が積み重なるにしたがって、
日常って目の前のことにコツコツ向き合う地道さだった、と
我に返るのがだいたいこの1月半ば過ぎのタイミング。

それにしてもまだ年が明けて数週間だというのに
寒さのせいなのか抗えない加齢のせいなのか
持ち重りのする包みが背中に貼りついているかのように体がだるい。
どうにも機敏に動けない。

そんなときは、つと思い立ったようにスープを作る。
具材にはあまりこだわらない。
なんといってもあるがままの素材をおおらかに
受止めてくれるのがスープというもの。

使いかけのタマネギ。冷凍すべきかどうか悩んでそのままになった鶏肉。
買ってきたばかりのニンジン。白ネギも生姜も体が温まるな。
あ、そう走りのセロリにえんどう豆もあったっけ。

ひたすら細かく、細かく刻む。
無に近づくように刻む。
セラピーさながら、禅の境地だ。

サイコロ状の野菜たちは美しき宝石のよう。
秩序正しく切り分けられたそのさまに
わけもなくうれしい気持ちがこみ上げる。
急ぎたい気持ちを抑え、弱火を選ぶ。
じわじわコトコト煮込み始める。
湯気がほのかに立ち上がる。
コンロのそばを行ったり来たり。
一口味見。野菜たちの滋味が
五臓六腑にしみわたる。

小一時間の間に気持ちがずいぶん整った。

晴れやかな特別な日でなくとも
鍋いっぱいの祝福がそこにある。
おいしいって味わってくれる笑顔がふと浮かぶ。

さて、今宵はどんな器によそってみよう?
ところどころに飛び散ってできた
エプロンの染みさえ
静かで確かな平和の証し。
わたしなりのしあわせの証し。

小さなしあわせのカケラは今日も
日常のスキマにふわりと横たわり
誰かに見つけられる瞬間を今か今かと待っている。

2019年1月21日 

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Miki

スタイリングフォトグラファー
フリー翻訳(英語)、ライター

1971年山口生まれ。
幼少の頃から夢は世界へ向かい、念願叶って海外と日本の架け橋となる事業に長年従事。異なる文化、訪れた国々の光や色、人々の暮らしぶりに大いに触発される。その後テーブルフォトのメソッドを習得。日常の中でこころ躍る瞬間を捉えることに情熱を傾けるようになる。そうした暮らしの中の美しさを届けるフォトエッセイをmahinaで発信しながら、フィンランドのライフスタイルや教育事情を翻訳を通じ日本に紹介したり、英語学習を始め日本の子どもたちへの異文化教育に邁進する日々。

【instagram】
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