五感でみつける 目で感じる

感情ラベリング

今の感情を一言で!と問われて、咄嗟に「うれしい」とか「心配している」とか気持ちをシンプルに表せる場合もあるかもしれないけれど、本当に正直な気持ちというのは、おそらくもっと複雑で繊細。
そういう意味で、自分自身に「一番しっくりくる言葉」を瞬時に言語化しうる人っていったいどのくらい存在するものなのだろう?

こうして感情表現について改めて客観的に想いを馳せるようになったのは、10年くらい前からプライベートな英語レッスンを行うようになり、生徒の皆さまひとりひとりの個性に深く触れる機会を得ているからに他ならず。

レッスンの冒頭、その日の気分を訊いたとして、シンプルにhappyとかtiredとか呼べる状況だったらよいけれど、必ずしもそうとも言えない気分のとき。
日本語でさえ言葉のチョイスに戸惑うのに、まして英語で表現するとなると推して知るべしというもの。

けれども皆さんは、自分らしい言葉でなんとか表現しようと”生身の“自分に向き合わざるを得なくなって、苦労しつつも自身に立ち昇っている正直な感情を英語でーたとえ単語の羅列であったとしてもー伝えてくれる。

たとえば「うまくは言えないのですがー何かドキドキしています」とか
「一人で暗闇の中を歩いてるような嫌な気分」みたいな、とか
いわば“名詞”(しあわせ、不満、恐怖、的な単語)から“形容詞”(ドキドキしている、とか〇〇のような、といった感情の細かな比喩的表現とか)へ変化していて、皆さん、口にした後に「やっと英語で言えた!」という達成感と「自分の気持ちに正直になれた。」という爽快感が相まってとてもすてきな表情を見せてくれる。
これはわたし的にはとても大きな気づき。

もしかするとー混乱した感情をあえて口にすることで気分が整い、リフレッシュさせるある種のセラピー効果があるのでは?と科学的根拠はそっちのけで全くの個人的な見解として興味深く観察するように。(実際こうした記録をnoteマガジンに1年半綴りました)

そうこうしているうちに、先日より読み始めたマインドフルネス関連の書籍で脳科学や心理学的アプローチとして、「ポジティブであろうとネガティブであろうとあらゆる感情にラベルをつけてみると、その感情に距離を置きたい場合であってもより軽い感覚でその感情を抱えられるようになる傾向がある。」との記述を発見。

―ということは、無意識にこれまで英語レッスンで行っているHow are you today?的な質問に対する“I feel 〇〇.”な会話は実はこうした感情を落ち着かせるーたとえ瞬間的なことであったとしてもー書籍でいうところのラベリング効果がなきにしもあらずなのかも!と無意識の実践がマインドフルネスの研究者のお墨付きを間接的にいただいたような気分になって一人にやついているところ。

わたしの場合はたまたま英語レッスンという教育現場の一コマからの気づきだったけれど、もっと広く日常生活のさまざまな場面でこうした感情ラベリングを意図的に試みることは、自分の気持ちの揺れを俯瞰できたり落ち着かせたりできるだけでなく、言葉の畑をたがやすトレーニングにもなるのかな?

ちなみに、ラベリングというと無理やり区分してゆく印象を持つかもしれませんが、決めつけのためではなく、あくまで感情に飲み込まれ過ぎないための自分との対話であり、自己を客観視するための行為とわたしは受け止めています。
なので、ラベリング不可!という判断もあるかと思うしそこは柔軟に。

とにもかくにも時間もコストもそうはかからないプチセルフケア。
よければおためしください。

参考図書『マインドフルネスそしてセルフ・コンパッションへ ~苦しい思考や感情から自由になる』クリストファー・K・ガーマー 星和書店 2024年

2024年4月24日 

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Miki

English Lab/ doers(ドアーズ) 主宰。完璧さよりも小さな一歩を応援するパーソナルイングリッシュコーチ。文章やコーチングレッスンをとおして、心を整えきらめく日々を提供できたらと探求する日々

https://lit.link/doers

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