こころに潜る、こころで読む

12月の満月になりました。

今回はパリの女性たちの緑のくすり箱を知ることができる一冊、『パリジェンヌの薬箱』(神津まり江著・朝日新聞出版刊・1,650円)をご紹介します。

マヒナファーマシーのWEBマガジンをご覧のみなさんは、きっとご自身の体やこころのこと、自然療法に関心をお持ちの方が多いと思いますし、セルフケアアイテムを日常から取り入れられているのかな、と思います。
また、ここ数年で自然療法やオーガニックといった言葉も身近になり、以前より広く受け入れられてきている実感もあるかと思います。

でも本書を読むと、パリはもっと進んでいるというか、パリの人たちの生活の中にはさらに身近にフィトテラピー=植物療法が根付いている、ということがわかり、セルフケアの本質を一歩踏み込んでシェアしてもらえるようです。


「パリの女性たちには、祖母や母から受け継がれたフィトテラピー=植物療法が根付いていて、手元には自分や家族のための”植物の薬箱”といえるものが備わり、クリニックに頼る前にまずは自分で不調を防ぎ、ケアすることがごく自然に行われている。」
 ―3Pより引用


本書は、年齢・仕事・家族構成も様々な8人のパリジェンヌが登場し、美容や健康観、植物の常備薬、行きつけのハーブ薬局などのインタビューページがメインで、心身との向き合い方は国を越えても変わらないことや、具体的なティザンヌ、エッセンシャルオイル、フラワーレメディが紹介されている(日本では見たことのないものばかり!)のも興味深く、自分の日常と照らし合わせながら読むことができます。


「フィトテラピーで毎日細やかにケアしているから心身ともに不調しらずよ。」
 ―38Pより引用
「自分に必要なものは自然にわかるから、決まったルールはないの。」
 ―48Pより引用


とインタビューされた女性たちが答えているように、健やかな毎日を送るために自分自身へ意識をちゃんと向けていることがわかりますし、セルフケアというのは、日々自分の体や心の動きを細やかに感じ取り、そして必要なケア(どのハーブを使うのがよいか、日々の生活に無理なく取り入れられるものはどれか、ハーブティーなのか、タンチュメールなのか、など)をするための知識を持っていることが大切なのだな、と改めて感じます。

パリの女性だって、私たちと変わらず忙しさやストレスを抱えながら暮らしていることは変わりないようで、意外と胃腸の不調が多いのだとか。
本書では他にも、そんなパリジェンヌが通うハーブ薬局やセラピストがいるサロン(保健室)が紹介されたり、コスメキッチンや植物療法士・森田敦子さんのインタビューなど日本のフィトテラピー事情がわかるページなども。

パリジェンヌの薬箱には植物に対する知恵と自分への愛情が詰まっていました。
本書を読んで、今の自分にとって必要なレメディはなにか、私のみどりの薬箱を見直そうという気分になった私は、きっとまたマヒナファーマシーさんでお買い物をするのでしょう笑。
ちょっと不調を感じたときに、そうやって頼れる場所があるのは心強いものです。

折しもちょうど年の境い目、みなさんもご自身のみどりの薬箱を点検してみるのはいかがでしょうか。
心身ともに整えて、新しい年を気持ちよく迎えましょう。

岩井友美/west mountain books

「私やあなたが本来の自分に戻るための知恵やヒント、きっかけ」となるような、からだやこころ、自然にまつわる本をセレクトしています。2020年まで7年間下北沢・本屋B&Bの書店スタッフとして勤務し、くらし・からだ・旅・食・日本文化にまつわる棚やイベント企画を担当。並行して2020年より個人の屋号としてwest mountain booksをスタートし、現在は長野県上田市を拠点にオンラインショップ、イベント出店を行いながら、2021年12月に「面影 book&craft」という実店舗をオープンしました。情報はインスタグラムをメインに発信中。

Instagram @westmountainbooks
オンラインショップ https://westmountainbooks.stores.jp/


2021年12月19日 

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