五感でみつける 目で感じる

いちばんの願いを唱えたら。

以前よりこのシリーズがとても好きで、先日出版されたばかりの新作を読了。
動物が主人公の物語、一見おとぎ話風なのだけれど、現代社会にもチクっとスパイスを効かせてくれる。

今までは、ハリネズミやリスが単体で主人公だったけれど、今回はなんと63種類の動物たち各々の「いちばんの願い」が綴られている。

クマやノウサギといったイメージしやすい動物から、ムカデ、カゲロウといった日常にはあまり目を向けないような(失礼!)種類の生き物まで。

森を歩くための新しい靴が欲しかったムカデ、みんなが自分のことをどう思っているのか知りたくて知りたくて動物たちに手紙を書こうとするけれど、できずじまいで夏の到来を待つことがいちばんの願いになったリス、まだだれも深く潜ったことがないほど深い場所にたどり着きたいモグラ。

みんな奇妙キテレツ!
だけどセツジツ!

こうした独特な世界観の小さな作品なのだけれど、
人間世界も同じように、ひとりひとりが自分だけの「願い」を持っている。(あるいは「願い」を持たないことが「願い」ということもあるかもしれない。)
そしてそれをいいとか悪いとかジャッジするのはナンセンス、ということ。
つまりは、絶対的な基準で測るのではなく、多様性というものが横たわっているということ。

誰かにとっては「一生をかけてやり切りたい。一生のうち必ず手にしたい。」くらいとても大事で、誰かにとっては「え?それが何か?」というくらい些末なことかもしれない。

でも、それは一律同じでなく、優劣もなくグラデーションがあるからこそ全体性としてうまくいくし、個が際立つ世界ということ。

なのに、何か誰かと同じようにーあの人みたいこうしたい、ああなりたいーってもがく人間社会は動物たちからすると逆に不自然なことなのかも。
とにもかくにも。
この1冊を読み終えると何ともいえない平穏が訪れる。
ちいさくて誰かに笑われそうな願いがある。それ自体がまず平和。
願いが浮かぶことそれ自体がまず平和。

平和というともう1冊、今年とてもはっとさせられた作品がこちら。
世界で最後の花

地政学や国際社会のオーソリティーが記したすばらしい書籍は星の数ほど世にあふれているし、実際目を通すときれいごとでは済まない現実が立ちはだかっていることを知る。

他方、動物や植物やー物言わぬ世界の住人の声を受け取って伝えてくれる作品たち。
一見真逆でアプローチは違えど、伝えたい想いはたぶん同じ。


こころがざわめく出来事が終わらぬ2023年ではありますが
自分なりの平安をいつも内側にもって
誰に披露するわけでもない小さな「願い」を描いて、
本当の意味での“多様性”をただ純粋に受け止められたら。

時代が、社会がーと大上段から構えるつもりはないけれど
変化のはじまりの起点はこうしたささやかな一人ひとりの内なる平穏。
そのことだけは私にとってのささやかな「願い」。

さて。
いよいよ一年の終わり。
みなさんの「願い」はなんですか?

よきことも揺らいだことも含めて
来年へ向けたpeacefulな日々へと昇華されますように。

2023年12月27日 

< 戻る次へ >

Miki

English Lab/ doers(ドアーズ) 主宰。完璧さよりも小さな一歩を応援するパーソナルイングリッシュコーチ。文章やコーチングレッスンをとおして、心を整えきらめく日々を提供できたらと探求する日々

https://lit.link/doers

このページのトップへ